フルトヴェングラーのことば(その1)
フルトヴェングラーの「音と言葉」。
「アントン・ブルックナーについて」という章で、こう書いてある。
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もう二十年以上も前になりますが、あらゆる世界の国々の全音楽文献をあさって、最も偉大な作品は何かという問合せが音楽会全般に発せられたことがありました。この質問は国際協会(グレミウム)によって丹念に調査されたうえ、回答されました。人々の一致した答えは、──『マタイ受難曲』でもなければ、『第九シンフォニー』でも、『マイスタージンガー』でもなく、オペラ『カルメン』ということに決定されました。こういう結果が出たのも決して偶然ではありません。もう小粋(エレガンス)だとか、「申し分のない出来」とか、たとえば「よくまとまっている」とかいうことが第一級の問題として取り上げられるときは、『カルメン』は例外的な高い地位を要求するに値するからです。しかしそこにはまた我々ドイツ人にとってもっとふさわしい、もっとぴったりする基準もあるはずです。
(新潮文庫・芳賀檀 訳より)
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「アントン・ブルックナーについて」は1939年だから、20年前というと1919年以前。
ニイチェが亡くなったのが1900年。
ニイチェの「ワーグナーの場合」のこと。
そんなことも考えながら、もっとふさわしい基準、もっとぴったりする基準、
名曲はオーディオの名器にも置き換えられる。
いろんなことにつながっていき、いろんなことを考えさせられる。