オーディオと青の関係(名曲喫茶・その4)
新宿珈琲屋を始めるあたって、
店主のMさんは、友人のOさんにオーディオをまかせている。
QUADのシステムを選びセットアップしたのはOさんである。
Oさんとは、このブログに度々登場するOさんである。
ステレオサウンドの編集に50号あたりから携わり、
サウンドボーイの創刊、HiViの創刊、両誌の編集長でもあった。
サウンドボーイの記事中にもあったが、あのあたりの当時の電源事情はかなりひどくて、
ノイズカットトランスが必要になった、とのこと。
二基のESLは、客の後側に置かれていた。
ESLの音をきちんと聴きたければカウンターの中に入るしかない。
客は背後から鳴ってくる音を聴くことになる。
もっともほとんどの客は、すぐ後にあるパネルヒーターのようなモノが、
スピーカーとは思っていなかったようだ。
なんとなく、どこかから音楽が鳴っている──、
そんな感じで受けとっていたように思う。
私は新宿珈琲屋によく通っていた。
日曜日は必ず行っていた。
仕事の後も、週に二度は通っていたから、週三は最低でも、
新宿で映画を観たあとも、ここでコーヒーを、という感じだったから、
週四というときもあった。
それだけ通っていて、一度だけ、
ある客が、「どこから音、鳴っているんですか」と訊ねていたのを見ている。
そういう音の鳴らし方だったし、新宿珈琲屋は名曲喫茶ではない。
私はここで本格的なコーヒーの味を初めて知った。