オーディオ入門・考(Dittonというスピーカー・その7)
こうやって毎日オーディオのことを書いていて実感しているのは、
オーディオの底知れぬおもしろさである。
同時に、オーディオ評論のおもしろさも、である。
読んだ時に気づいていたこともある。
数年後に気づいたことこともある。
十年後に、ということだってある。
さらにもっと時間がかかって(歳をとって)気づいたことがある。
そうやっていくつものことがリンクしていく。
そのことに気づくおもしろさこそが、オーディオ評論の読み方(楽しみ方)ではないのか。
瀬川先生は46歳で亡くなられている。
いまステレオサウンドに書いている人たちは、
すべての人の年齢を把握しているわけではないけれど、ほとんどが瀬川先生の年齢をこえている。
年齢だけでなく、オーディオ雑誌に書いている年月も、
書いた文章の量も、瀬川先生をこえている、であろう。
それらの人たちが書いてきたそれらの文章から、
私が瀬川先生(だけに限らない、職能家といえるオーディオ評論家)の文章を、
読み返すことで気づきリンクしていっていることが、行えるだろうか。
私には無理だけれど、
私が職能家として認めないオーディオ評論家、
つまりオーディオ評論家(商売屋)をオーディオ評論家として認めている読み手は、
そういうことができるのか。
できない、と私は思っている。
それは読み手としての能力の違いということよりも、
書かれたものが、すでに違うからだ。
ここにオーディオ評論家(職能家)とオーディオ評論家(商売屋)の違いが、
はっきりとある。