オーディオのデザイン、オーディオとデザイン(ダストカバーのこと・その19)
瀬川先生がダストカバーについて述べられていたのは──、
すぐに思い出せるのはステレオサウンド 40号の特集「世界のプレーヤーシステム最新50機種の総試聴」、
「瀬川冬樹の語るプレーヤーシステムにおける操作性の急所」である。
以下の項目について語られている。
プレーヤー全体の大きさ
インシュレーターとキャビネット
ターンテーブルの形状
ストロボスコープ
センタースピンドルの形状
トーンアーム
トーンアーム(ヘッドシェル)
トーンアーム(アームレスト)
トーンアーム(アームリフター)
トーンアーム(カウンターウェイト)
コントロールスイッチ
ダストカバー
ダストカバーには、性能的な問題と、
使ったときの心理的、機能的な問題がある、とまず語られている。
性能的なことでいえは、ペラペラなつくりであれば、ダストカバーを閉じた状態で、
ハウリングを誘発(もしくは増幅)することがある、と指摘されている。
40号では、「操作性の急所」がテーマとなっているから、
心理的、機能的な問題についてがメインである。
こう語られている。
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ダストカバーの動き方の理想というのは、使用者の好みによって、どの角度でもとまってくれるのがいいのだけれども、それは普通の機械では無理ですね。しかしできれば、一番開けたところで90度まで開いて、そこから45度くらいまでの間ではフリーストップするというのが理想なのですけれどね。
それから閉まる直前でバタンと落ちるのはまずいわけです。これは気分的な問題だけじゃなくて、実際レコードに針をのせてふたを閉めようとしたときに、ちょっと手がすべってカバーがバタンを落ちれば、針が飛んでしまったりする。
話がそれるかもしれないけれども、昔の〝クレデンザ〟という蓄音器の名器はものすごく重いマホガニーのふただったけれど、それをたたきつけるように閉めようとしても、エアーダンパーが働いてスーッと静かにおりてくる。そういう設計をしてあったわけです。しかし、 いまのダストカバーに使われている蝶番のほとんどは絶対的な大きさが小さすぎるから、この程度のメカニズムではふたの重さをカバーしきさない。ですから、ある程度ていねいに扱ってやるよりないですね。
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ここで語られていることも、デザインに含まれる。