Hotel California(その4)
“Hotel California”だけではない。
チャック・マンジョーネの“Children of Sanchez”もそうだ。
私にとって“Children of Sanchez”も“Hotel California”も、
JBLの4343で聴いた音こそが、リファレンス(基準)となっている。
“Hotel California”はステレオサウンドの試聴室で聴いた音、
“Children of Sanchez”は、熊本のオーディオ店で瀬川先生が鳴らされた音が、
そうである。
これまで聴いてきたすべてのディスクがそうなのではない。
それほど数は多くはないが、そのディスクを最初に聴いた音が圧倒的であったり、
強烈であったりしたら、どうしてもその音がリファレンスとして焼きつけられる。
特に10代のころの、そういう体験は、いまもはっきりと残っている。
バルバラの「孤独のスケッチ」も、そういう一枚だ。
これも瀬川先生がセッティングされたKEFのModel 105の音を、
ピンポイントの位置で聴いた音が、いまも耳に残っている。
コリン・デイヴィスの「火の鳥」は、トーレンスのReference、マークレビンソンのLNP2、
SUMOのThe Gold、JBLの4343という組合せで聴いた、
文字通りの凄まじい音が、私にとってリファレンスであり、
この音が、瀬川先生が熊本で鳴らされた最後の音であり、
瀬川先生と会えたのも、この日が最後だった。
最初に聴いた音がリファレンスとなっているのは、
私の場合、いずれも自分のシステム以外での音である。