オーディオがオーディオでなくなるとき(その8)
その店で売られているのは、
スピーカーシステム、アンプ、CDプレーヤー、ケーブルなどである。
非常に高価なモノばかりであっても、アンプはアンプであり、
スピーカーはスピーカーであるわけだ。
スピーカー、アンプ、プレーヤーをまとめてオーディオ機器と、
これまで何気なく呼んでいた。
けれど、ここにきて、アンプはアンプにかわりはないけれど、
つねに、どんな場合であってもオーディオ機器なのか……、
秋葉原のその店(オーディオ店と呼ぶよりトロフィー屋がふさわしい)に行ってから、
そう考えるようになった。
あの店は、立派なオーディオ店だよ──、
そう思っている人にとっては、その店で売っているアンプやスピーカーは、
紛れもないオーディオ機器ということになろう。
けれど私や私の考えに同意してくれる人にとっては、
その店で売られているスピーカーやアンプは、オーディオ機器なのか……、
と考え込んでしまう。
その店で売られているスピーカーやアンプが、
別の店(オーディオ店と呼べる店)で売られていたら、
オーディオ機器と、私だって認識する。
同じ製品が、ある店ではオーディオ機器として、
別の店ではオーディオ機器とは呼べない何か、として売られている(扱われている)。
また屁理屈をこねまわしている──、
そう思っている人もいるだろう。
私だって屁理屈かな、と思っているところはある。
それでも、屁理屈をこねまわしているだけだろうか、とやはり思うわけだ。
オーディオ機器とは何なのかを考えることが、
「オーディオがオーディオでなくなるとき」を考えることにつながっている、と感じている。