快感か幸福か(秋葉原で感じたこと・その3)
トロフィーとはなにかの賞を受けた時に記念として贈られるモノだ。
名誉ある賞もあれば、地域のスポーツ大会の賞ということもある。
どちらにしても、賞を主宰している側から贈られるのがトロフィーである。
自分で、自分に贈るのがトロフィーであるわけがない。
よく頑張った自分! といって、自分にトロフィーを──、と考えるのだろうか。
「功成り名遂げた人に相応しいオーディオ」、
自分で自分に贈るトロフィーとしては、向いていると思えるところもある。
オーディオはコンポーネントである。
スピーカーシステム、コントロールアンプ、パワーアンプ、
それにプレーヤーが必要になり、
さらにケーブル、ラックなども要る。
デジタル信号処理のプロセッサーもつけ加えれば、
システムのヴァリエーションも、ほぼ無限にあるといっていい。
つまり「人と違うの僕」用のトロフィーが組める。
世界にひとつしかないトロフィーができあがる。
そういう視点でオーディオを商売にしているのであれば、
共感はまったくできないが、なかなかうまい商売だな、と思わないわけではない。
つまり、その店は、オーディオ店ではないのだ。
トロフィー屋なのだ。
功成り名遂げた人が、自分に自分で贈るトロフィーを、
あれこれセレクトして、世界にひとつだけのシステム(トロフィー)をつくってくれる。
しかも、他の人よりも、もっと高価なシステム(トロフィー)を提案してくれる。
「人と違うの僕」は、「人よりも高いの僕」へところんでしまう。