Date: 1月 21st, 2018
Cate: 菅野沖彦
Tags:

「菅野録音の神髄」(その6)

その4)、(その5)で引用したMC2500、Stasis 1での「THE DIALOGUE」の音の印象は、
ポジティヴな評価であり、「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」にはそうではない音の印象もある。

100機種ほどのアンプの総テストだけに、そうではない音の印象のほうが多い。
それらをここで引用はしないが、よく鳴ったときの音の印象、そうでないときの音のい印象、
自分「THE DIALOGUE」を真剣に鳴らしてみると、
どちらの意見も「たしかにそうだ」と感じられる。

それは「THE DIALOGUE」のCD/SACDのハイブリッド盤でも、まったく変らない。
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」ではアナログディスク。
つまりは江崎友淑氏によるマスタリングは、
オーディオラボ時代の音の印象そのままが継承されている、ということでもある。

菅野録音の本質を理解されているからこその、出来であることは、
「THE DIALOGUE」の一枚を聴いただけでもはっきりとわかることだ。

今回の「菅野録音の神髄」での音は、その意味で江崎友淑氏の音ではない、といえる。
アキュフェーズのプレーヤーとコントロールアンプとクリーン電源、
B&Oのスピーカーシステム、
それにそれぞれのスタッフ。
杉並区の中央図書館のスタッフ。

今回の音は、誰による音なのか、とおもう。
そういえばステレオサウンドの編集長の染谷氏も来られていた。

染谷氏による今回の音だったのか。
そのへんははっきりとしないが、「THE DIALOGUE」にかぎらず、
他のディスクでも、音に関してはあきらかに足りないものがあった。

曲と曲とのあいだの江崎友淑氏の話は、来てよかった、といえる内容だっただけに、
足りないものが、はっきりとしてくる感じでもあった。

江崎友淑氏は、菅野先生のことばを引用されて、こういわれた。
「録音は、再生に始まり再生に終る」

そうである。
けれど、このことばが、より重みを増すために必要な音、
つまり再生がなされていたとはいえなかった。

Leave a Reply

 Name

 Mail

 Home

[Name and Mail is required. Mail won't be published.]