世代とオーディオ(その18)
《エア・チェックのスゴサ》を感じながらも、
音では、(その15)で書いたようなことが、現実に行っていた。
当時はCDはまだ登場していなくて、LPだった。
FM放送で、持っているLPがかかることはわりとあったことだ。
同じLPを再生しているのに、
アナログプレーヤーで聴くよりもFMの方が音がいい。
理屈としてはありえないことであるが、そんな質問が、FM誌やオーディオ雑誌に載っていた。
長島先生はFM放送(受信)の仕組みを、リプロダクションシステムと考えることができる、と書かれている。
同じLPなのにFMの方がよく聴こえるのであれば、
アナログプレーヤーのクォリティの問題か、設置・調整の不備である。
では、クォリティに問題がなく、設置・調整にも問題がなければ、
FMの方がよく聴こえる、ということは、起り得ないのか。
どんなチューナーを使い、アンテナはどうなのか、
電波状況は……、そういった要素が絡んでのことなので、一概にいえないが、
可能性として、部分的によく聴こえる、ということはあるのかもしれない。
そういう体験はしていないが、だからといって、可能性を完全否定はできない。
だからこそ、《放送局が送り出している元の音より美しいと話題になったこと》があったのだろう。
ではテレビの場合はどうなのか。
放送されている番組を見ていて、
放送局が送り出している元の映像より美しい、と感じたことはない。
元の映像を見たわけではないけれど。