Date: 10月 18th, 2015
Cate: 世代
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世代とオーディオ(その15)

チューナーというオーディオ機器をどう捉えるのか。
それによって、いわゆる高級チューナーの必要性に対しての、人によっての考え方が違ってくる。

ステレオサウンド 59号の特集「ベストバイ」で長島先生が書かれていることを思い出す。
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 チューナーにもスーパーマニア向けといってよい超高級チューナーがある。これらの持つ魅力とはいったい何なのだろうか。昔、マランツ♯10Bやマッキントッシュのチューナーは、どう考えても放送局が送り出している元の音より美しいと話題になったことがある。簡単に考えるなら、チューナーは単なる伝送系の一部に過ぎず、このようなことが起るはずがないのだが、実際は、チューナーは単なる伝送系ではなく、ある意味ではリプロダクションシステムと考えることができるである。なぜならば、チューナーを通してオーディオ信号が出てくる仕組みは、受信電波を単に増幅しているだけではなく、受信検波、ステレオ復調という部分でチューナーがオーディオ信号を再組立しているともいえるからだ。したがって、回路構成、使用部品によって、前述のようなことが起り得る。この良い意味での個性を持つということが超高級チューナーの必要条件のひとつだと考えている。
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私がFM誌を読んでいたころ(1970年代終りごろ)、
何かの雑誌の相談コーナーで、自分のプレーヤーでレコードをかけるよりも、
同じレコードがFMで放送されるのを聴いたほうが音がいいのはどうしてでしょうか、という質問があった。
これはこういった相談コーナー以外でも取り上げられていた。

この場合のチューナーは、決して高級チューナーではない、普及型のチューナーであり、
アナログプレーヤーに関しても同じである。

FM放送のほうがよく聴こえるのであれば、
アナログプレーヤーのクォリティが低いのか、調整がうまくなされていない。
そう回答されていた。

中にはNKH FMの場合、使用カートリッジはデンオンのDL103なのだから、
FMよりも音が悪いということは、あなたが使っているカートリッジがDL103よりもクォリティが低い、
そんなことを書いているのも読んだ記憶がある。

この話も、同じ普及型のチューナーを使っていても、アンテナが違っていれば、
受信地域が違っていれば、その他の条件の違いによって変ってくるにしても、
当時、アナログプレーヤーの音の基準として、
同じレコードがFMで放送されたのよりも悪かったから、まだまだということだった。

このふたつの話は、レベルの違いはあるし、同一視できないところもあるけれど、
たとえレコードの放送であっても、
場合によっていい音、美しい音で聴けることが起り得ることを、考えさせる。

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