日本の音、日本のオーディオ(その37)
リヒテルが、ヤマハのピアノはパッシヴであり、受動的だから欲する音を出してくれる──、
そういう理由で選んだということは、彼自身がアクティヴなピアニストだからではないのか。
パッシヴなピアニストだったら、パッシヴなピアノではなく、
アクティヴなピアノを選択するのかもしれない。
アクティヴなピアニストといっても、みながみなリヒテルと同じわけではないから、
アクティヴなピアニストが、パッシヴなピアノをみな選ぶわけではなく、
アクティヴなピアノを選ぶことだってある。
ならばパッシヴなピアニストが、パッシヴなピアノを選ぶこともあろう。
四つのマトリクスがある、と考える。
ピアノをスピーカーと置き換える、
ピアニストを聴き手(オーディオマニア)と置き換える。
アクティヴな聴き手(オーディオマニア)は、
パッシヴなスピーカーを選ぶのか、アクティヴなスピーカーを選ぶのか。
パッシヴな聴き手(オーディオマニア)は、
パッシヴなスピーカーを選ぶのか、アクティヴなスピーカーをえらぶのか。
ここにも四つのマトリクスがある、と考えられる。