Date: 9月 28th, 2017
Cate: アンチテーゼ
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アンチテーゼとしての「音」(その7)

「フツーにいい音」。

私の周りには、こんな表現を使うオーディオ仲間はいないが、
私の知らないところでは、意外にも使われているのかもしれない。

「フツーにいい音」とは、
菅野先生がいわれた「いい音だけど、毒にも薬にもならない音」だと思う。

菅野先生が、そう表現されたことは(その5)に書いている。

「毒にも薬にもならない音」。

なにも、その録音エンジニアの録音だけにいえることではない。
いま優秀な、といわれるオーディオ機器が聴かせる音も、
「毒にも薬にもならない音」になりつつある、
「毒にも薬にもならない音」が増えつつある、そんな気もしている。

だから「毒にも薬にもならない音」という菅野先生の言葉が、
あの時からずっと心にひっかかり続けている。

「毒にも薬にもなる音」。

それはラッパと呼ばれていたころの大型スピーカーが聴かせる音ともいえる。
それだけにうまく鳴らすのが難しい、ともいわれたし、
スピーカーと格闘する、という表現が生れてきたのも、
そういう音のスピーカーだから、ともいえる。

そういう音(スピーカー)に辟易してきた人もいる、と思う。
「毒にも薬にもならない音」は、
「毒にも薬にもある音」のアンチテーゼでもあったとも考えることはできる。

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