文行一致(その2)
ステレオサウンドは62号、63号で、
「音を描く詩人の死」を掲載している。
そのなかで、ずっとひっかかっていたことがある。
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その先輩の一人、金井稔氏が追悼文のなかでいみじくも書かれたように
〝彼は自分の感性に当惑していたのであろう。〟
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金井稔氏による追悼文とは、おそらくラジオ技術に掲載されたものだろう。
《彼は自分の感性に当惑していたのであろう》
どこか大きな図書館に行けば、その追悼文全文が読めるのだが、
なぜかしていない。
前後にどういうことが書かれていたのか、はっきりしない。
はっきりしないから、よけいに《彼は自分の感性に当惑していたのであろう》が、
私の心に残り続けている。
ほんとうに瀬川先生は《自分の感性に当惑していた》のだろうか。
金井稔氏と瀬川先生のつきあいは長い。
瀬川先生が高校生だったころからのつきあいである。
だから、そうなのだろう……、と思いつつも、
一方で常にそうなのだろうか……、とも思っていた。
そこに、貝山知弘氏の「文行一致」があった。
貝山知弘氏の書かれたものを、あらためて読んで、
文行一致と《彼は自分の感性に当惑していたのであろう》が結びついた。
そうだったのか、とおもう。
いまになって、やっとそうおもう。