アナログディスクのクリーニング(その3)
アナログディスクそのものを完全に理解しようとするならば、
化学的知識も非常に重要になってくる。
アナログディスクそのもののケア、クリーニングに関してはそうである。
アナログディスクは化学的物質であり、
それゆえに生き物的であるともいえる。
といっても私も化学的知識に詳しいわけではない。
なので受け売りなのだが、
アナログディスクの主材料の塩化ビニール(PVC)と酢酸ビニール(PVA)の化学的な結合は、
多くの炭素鎖が結び合っている状態であり、このチェーン結合は、
再生時に針先から単位面積当りかなりの圧力と、瞬間的ではあっても100度をこえる熱を受ける。
これによりチェーン結合が短く破壊される。
この状態の穴すぐディスクは硬くなり、弾力性を失った状態である。
これを防ぐのが、安定剤である。
この安定剤と化学的な結合をしやすいのが、蒸留水とアルコールであり、
化学的な結合ということは、安定剤の破壊ということである。
乾式のクリーニングでは取りきれない汚れに対しては湿式は有効である。
湿式では蒸留水とアルコールを使うことが多く、そういうリスクがある。
そのことを知らずにクリーニングをくり返すことの、長期的な怖さは頭に入れておくべきである。
化学に詳しくない私でも、この程度のことは頭に入っているわけだから、
化学の専門家がこれらのことを踏まえてクリーニング液を作っているのであれば、
問題はないのかもしれない。
その見極めは、だから肝心であり、
そのためには化学的知識がそれなりに求められる。