ホーン今昔物語(その15)
Interface:Dを開発していたころ、
エレクトロボイスは、ジム・ロングが語っているように他社ほど成功しているとはいえなかった。
過去の名器としてPatricianシリーズがあっても、
メーカーには、そういう時期も必ず来る。
JBLもそういう時期があったし、アルテックにもARにもあり、
他のメーカーにもある。
そういう時期だったからエレクトロボイスは、
他社が取り入れていない理論を受け入れやすかった、ともいえよう。
だから定指向性ホーン(Constant-Directivity Horn)が、
エレクトロボイスに在籍していたドン・キールによって打ち立てられた、ともいえよう。
ドン・キールはエクスポーネンシャルホーンが、それほど神聖か、という論文も書いているそうだ。
アルテックのマンタレーホーンの縦長のスリットをみていると、
トーンゾイレ型スピーカーと重なってくる。
トーンゾイレ型も、
スピーカー軸上から外れたところでも指向特性の範囲内でのエネルギー分布を均一するという目的で、
マッキントッシュのXRT20のトゥイーターアレイも同じ設計思想であり、
これをホーンを上下に何段も積み重ねるでなく目指したのが、定指向性ホーンである。
そう考えると、トーンゾイレ型スピーカーにホーンを取り付けたら……、となる。
コーン型ウーファーに縦方向に数発並べてのトーンゾイレ型をつくり、
その前にホーンを置く。
そんなことを考えていたら、アルテックの817Aエンクロージュアは、それに近い。
15インチ口径ウーファーを二本、縦方向に配置し、フロントショートホーンがつく。
817Aをひとつではなくもうひとつ用意して重ねれば、
よりトーンゾイレ型に近づく。
下側の817Aには515Eを二発、
上側の817Aには604-8KS(フェライト仕様になり奥行きが短くなったことで収まる)を二発、
その上にマンタレーホーンを置く。
604-8KSのトゥイーターを使うことで3ウェイにできる。
あまりにも大型すぎて、聴くことは叶わないが、悪くはないはずだ。