オーディオ評論家の才能と資質(その2)
ここでのテーマは、別項「評論家は何も生み出さないのか」と関係している。
「評論家は何も生み出さないのか」を書き始めたから、このテーマで書き始めたともいえる。
オーディオ評論家を名乗っているのに、
周りからもオーディオ評論家と呼ばれているのに、
スピーカーをうまく鳴らすのが不得手な人が多い。
いまオーディオ評論家と名乗っている人すべてを知っているわけではないから、
全員がそうだ、とは断言できないが、現在の多くのオーディオ評論家が、
スピーカーをうまく鳴らすことに長けているとはいいがたい。
もちろん、自分のリスニングルームにおいて、
自分の好きなスピーカーを鳴らすことに関しては、そうではないだろうけど、
オーディオ評論家は少なくともプロフェッショナルであるわけだから、
それだけではアマチュアと同じでしかない。
十年ほど前か、あるオーディオ評論家から聞いたことがある。
地方のオーディオ販売店に招かれる。
たいてい音が出るように準備されている。
けれど客に聴かせられるようなレベルではないことも少なくないそうだ。
そんなときFMアコースティックのアンプが店にあると助かる、ということだった。
FMアコースティックのアンプが置いてある店なわけだし、
オーディオ評論家を招いてイベントを行うくらいだから、
最初のアンプもそこそこの評価の高いモノのはすである。
それをさらに高価なFMアコースティックにかえる。
そうするとたいていの場合、なんとかなる、ということだった。
この時はアンプについて話していたときであったから、
その流れで、この話をしてくれたのだろう。
そのことはわかったうえで、書いている。
それでも、オーディオ評論家を名乗っている以上、
アンプをFMアコースティックにかえる前にやれることは、山のようにあるではないか、
そういいたくなる。
おそらく、これに対する返事は、時間がそんなにないから、なのだろう。
そういう事情もわからないわけではない。
それでも……、とやっぱり思ってしまう。