JBL 537-500は理外の理なのか
別項「ホーン今昔物語」を書こうと思ったのは、
JBLの蜂の巣ホーン537-500(後のHL88)について考えていたからである。
537-500について考えていたのは、オーディオにおける理外の理について考えていたからだ。
537-500、それにLE175DLHは、
ホーンの開口部にパーフォレイテッドプレート型音響レンズがついている。
537-500の音響レンズは、たしか14枚のドーナツ状のパンチングメタルからなる。
いくら小さな穴がびっしりとあるといっても、
これだけのものがホーンの開口部を、いわばふさいでいる、ともいえるシロモノだ。
現在のJBLならば、
この種のホーンは、理論から外れているといって絶対につくらないであろう。
でも、このホーンをJBLはウェストレックスに納入していた。
ウェストレックスのT550Aという型番のホーンが、そうである。
私は537-500の実測データをみたことはないが、
このホーンを使ったことのある友人のKさんによれば、
5kHz以上はダラ下りの特性になっているそうだ。
そうだろうな、と思う。
それが道理というものだろう。
それでも、このホーンの魅力にとりつかれた人がいるのもまた事実である。
菅野先生が、そのひとりである。
私は、まだこのホーンを自分で鳴らしたことはない。
LE175DLHは、いま鳴らしている。
その開口部を長めながら、理外の理について考えている。