オーディオのデザイン、オーディオとデザイン(JBL S106 Aquarius 2・その3)
1988年に、S119が登場した。
アピアランスはS109 Aquarius 4とほぼ同じだったこともあり、
S119をAquariusシリーズの復刻と捉えた人も少なからず、というより、
多かったのではないだろうか。
私も最初はS119をAquariusシリーズの復刻だと捉えた一人だ。
ウーファーにあたるフルレンジユニットを上向きにして、
ディフューザーを近接配置した構造。
一般的に水平方向に無指向性を謳ったスピーカーによく見られる。
S119では、四角いエンクロージュアの四隅にトゥイーターを一基ずつ配置しているところからも、
無指向性型システムとみていい。
S109 Aquariusも、S119と同じように水平方向の無指向性型システムと捉えられがちである。
というよりもAquariusシリーズを、無指向性型と捉えている人も少なくない。
私もしばらくはそう捉えていた。
高校生のころだったか、JBLにAquariusシリーズがあったことを知った。
S109 Aquarius 4の存在を知った。
無指向性型なんだ、とすぐに思った。
S109 Aquarius 4はすでに製造中止になっていたし、聴く機会もなく、
それ以上の興味をもつことはなかった。
S106 Aquarius 2の存在を知り、その細部を知って、
ようやくAquariusシリーズが無指向性型を狙って開発されたモノではないことに気づく。
Aquariusシリーズは、
エド・メイによるSLOT-LOADED DESIGNに基づくスピーカーシステムである。
そのことに気づいた目で、S106 Aquarius 2をもういちど眺めてみると、
これほど興味深いスピーカーシステムは、それほど多くは存在しない。