ホーン今昔物語(その1)
1976年に登場したJBLの4343は、
ペアで100万円をこえるスピーカーシステムにも関わらず、驚くほどの数が売れている。
当時の輸入元の山水電気が正確な数を発表していないが、
伝聞では、ほんとうに驚く数である。
それに当時は並行輸入もけっこうあった。
今後、もしオーディオブームが来たとしても、
4343のような売行きをするモノは、もう現れないであろう。
でも、夢よ、もう一度、と思うわけだ。
JBLの輸入元がハーマンインターナショナルになってから、
4343に匹敵する売行きのモノはなかった。
ハーマンインターナショナルには、山水電気でJBLの担当だった人たちが移っている。
彼らにとって、夢よ、もう一度は、4343の新ヴァージョンだったのかもしれない。
これも伝聞ではある(とはいっても確度の高い)。
日本のハーマンインターナショナルは、JBLに、4343をもう一度と要求した、ときいている。
4343の新ヴァージョンである。
日本のハーマンインターナショナルの、その要求には音響レンズ付きのホーンの採用があったそうだ。
つまり4343のデザインそのままで、リファインされたモデルというわけだ。
JBLからは、音響レンズといった時代遅れのモノは採用しない、という返答だった(そうだ)。
そのはずだ。
JBLのホーンは、1981年登場のバイラジアルホーンから、新しい時代に突入している。
スピーカーの測定にコンピューターが導入され、
それまでは見えてこなかった様々な現象が可視化されている。
ホーンの開口部を塞ぐようなモノの存在は、
もうメリットよりもデメリットの方が大きい、という判断は正しいし、
それが時代の流れでもある。
おそらく4348は、日本のハーマンインターナショナルの要望に応えてのモデルのはずだ。
だからこそ、4343と4348を比較することで、JBLのホーンに対するポリシーがうかがえる。