Date: 5月 25th, 2017
Cate: オーディオ評論, 選択
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B&W 800シリーズとオーディオ評論家(その4)

スピーカーは、鳴らす人によって、時として別モノのように鳴る。
ずっとずっと昔からいわれ続けている。

このことを否定するオーディオ評論家はいない(はずだ)。
どのオーディオ評論家は、表現は違っても、同じ趣旨のことをいったり書いたりしている(はずだ)。

B&Wの800シリーズを高く評価しながらも、
決して自宅で鳴らそうとしないオーディオ評論家であっても、そのはずである。

B&Wの800シリーズを仕事(おもにステレオサウンドの試聴室)で聴いている。
ならばこそ、と私などは思う。
ほんとうにB&Wの800シリーズを優れたスピーカーだと高く評価して、
ステレオサウンドの誌面を通じて読者にもすすめているのであれば、
編集部が鳴らす試聴室の音よりも、
別モノのように800シリーズを自分のリスニングルームで鳴らせるはずである。

スピーカーシステムは同じでも部屋がまず違う。
アンプもCDプレーヤーなどのオーディオ機器が違う。
そしていちばんのファクターとしての鳴らし手の違いがある。

B&Wの800シリーズが優れたスピーカーであるならば、
ステレオサウンド試聴室での、いわば仕事モードでの音、
それから自分のリスニングルームでの、自分ひとりのための音、
そういう音も鳴らせるはずではないのか。

なのに「800シリーズ、(オーディオ評論家は)誰も使っていないよね」が、
現状であるのは、どうしてなのか。

(その2)を書いてから、理由をいくつか考えてみた。
最初に考えたのは、B&Wの800シリーズはウィントン・マルサリス的スピーカーなのか、だった。

私はウィントン・マルサリスの演奏についてあれこれいえるほど、
ウィントン・マルサリスのレコードを聴いているわけではない。
ただウィントン・マルサリスの名前を、
ジャズにあまり関心のなかった私でも耳にするようになったころ、
同じくらい耳にしていたのは、
「ウィントン・マルサリス、うまいけど、つまらないよね」的なことだった。

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