リファレンス考(その8)
試聴室でのリファレンス機器に求められるのは、
安定動作の他にもいくつかある。
1970年代までは機器同士の接続はアンバランス接続のみ、といえた。
パワーアンプでバランス入力を備えているモノもわずかとはいえあったが、
アンバランス入力も備えていて、試聴はアンバランスで行われていた。
SUMOのThe Power、The Gold、それからマークレビンソンのML2も、
バランス入力をもっていた、というよりも、バランス入力が標準だったといえる。
コントロールアンプとパワーアンプ間をバランス接続するようになったのは、
コンシューマーオーディオでは、1980年代に入ってから、
アキュフェーズからC280、サンスイからB2301が登場してからだった。
C280はバランス出力を備えたコントロールアンプ、
B2301はバランス入力を備えた、というより、全段バランス構成(SUMOのアンプもそうである)。
でも、この時点では、アキュフェーズにはバランス入力をもつパワーアンプ、
サンスイにはバランス出力のコントロールアンプがなかったこともあり、
バランス接続の音、アンバランス接続の音がどう違うのかは、
このふたつのメーカーの組合せによって行われた。
バランス入出力にはXLR端子が使われる。
1番がアースで、2番、3番がホットもしくはコールドと標準である。
アメリカとヨーロッパでホットとコールドは入れかわるが、
アースが1番なのは共通している。
ところがアキュフェーズとサンスイのバランス接続には問題があった。
どちらだったのかは忘れてしまったが、
1番をアースにせず、3番をアースにしていたからだ。
つまり通常のバランスケーブルで、このふたつのアンプを接続すると、
アンバランスになっていた、というオチである。
このことはすぐに直されているから、市販されたモノではこんなことは起っていないはずだ。