「三島由紀夫の死」(とんかつのこと)
夕方、友人のAさんから食事の誘いがあった。
水道橋辺りでとんかつを食べませんか、ということだった。
ふたりともとんかつは好物である。
水道橋辺りではあまり食事をしたことがないので、
そこがどんな店なのか興味もあるし出掛けていった。
水道橋東口から徒歩数分のところにあるかつ吉である。
古くからある店とのこと。
あれこれ楽しい話をして店を出ようとして気づいた。
レジのところに、この店が紹介された記事の切り抜きが貼ってあった。
文人が愛した店ということで紹介されていた。
そこには川端康成と三島由紀夫の写真があった。
Aさんに、このふたりが来てたんですね、といったら、
Aさんのお父さんが以前、この店に来たところ三島由紀夫も来ていた、とのこと。
これだけだったら、ここで書くことはないのだが、
それが「三島由紀夫の死」の二日前のことである。
その日に思い立っての切腹ではなかろう。
ならば最期の日を前にして、好きなものを食べに来ていたのだろうか。