AXIOM 80について書いておきたい(その9)
AXIOM 80を、私ならどう鳴らすか。
そんなことを妄想している。
まず考えるのはパワーアンプである。
ここは絶対に疎かに、いいかげんに決めることはできない。
まず浮ぶのは瀬川先生がAXIOM 80を鳴らされていたように45のシングルアンプ。
既製品では、そういうアンプはないから自分でつくるしかない。
瀬川先生は定電圧放電管による電源部、無帰還の増幅部で構成されている。
同じ構成にする手が、まずある。
45のフィラメントを、どうするか、とも考える。
シングルアンプだから、それにAXIOM 80の能率の高さと、
ハイコンプライアンスという構造上の問題からすれば、
ハムは絶対に抑えておきたいから、必然的に直流点火となる。
整流回路、平滑回路による非安定化電源か定電圧電源か。
ここは定電流点火としたい。
前段はどうするか。
最近のオーディオ雑誌では出力管の前段を、ドライバー段と表記しているのが目立つ。
前段の真空管をドライバー管ともいっている。
だが真空管アンプのベテランからすれば、わかっていないな、と指摘される。
トランジスターアンプと真空管アンプは、同じではないし、同じように語れるところもあれば、
そうでないところもある。
そのことがオーディオ雑誌の編集者も、
オーディオ評論家と呼ばれている人たちもわかっていないようだ。
無線と実験の別冊として以前出版されていた淺野勇氏のムック。
この本の巻末には、座談会が載っている。
ここでの伊藤先生の発言を読んだことのある人ならば、
出力管の前段をドライバー段とか、ドライバー管とはいわない。
もちろん正しくドライバー段と呼ぶ場合もあるが、
たいていの場合、ドライバー段と呼ぶのは間違いである。
私も、淺野勇氏のムックを呼ぶまでは(10代のおわりごろまでは)、
ドライバー段などといっていた。