Date: 2月 15th, 2017
Cate: アンチテーゼ
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アンチテーゼとしての「音」(その6)

いつごろから使われるようになったのか正確には記憶していない。
ここ数年よく耳にするようになったのが、
「フツーにうまい」とか「フツーにかわいい」といったいいまわし。

フツーはいうまでもなく普通であわけだが、
文字は別として、耳には「普通にうまい」ではなく「フツーにうまい」に近い。
普通にフツーにしても、「うまい」の頭になぜつけるのか、と思う。

うまい(おいしい)ということは、ふつうのことなのか、といいたくもなる。

オーディオも「フツーにいい音」といったりするのだろうか。

この「フツーに○○」が使われるようになる前から、ラーメンはブームになっていた。
東京に住んでいるとラーメン店の増殖ぶりはすごい。
さまざまなタイプのラーメンがある。

ラーメンがブームになって感じるのは、まずいラーメン店がきわめて少なくなってきたこと。
ラーメン・ブームの前は、あきらかにまずい店が少なくなかった。

よく言っていたのは、インスタントラーメンでもこれよりずっとうまいよ、とか、
どうやったら、これほどまずくつくれるんだろう……、とかだった。

いまではそういうラーメン店を見つける方が難しくなってきている。
このことはラーメン・ブームが定着した証しなのかも、とも思ったりする。

けれど、ほんとうにおいしいと感じるラーメン店の絶対数は、
それほど増えていない気もする。

昨晩も知人ととあるラーメン店に行った。
常時ではないが、時間帯によっては行列ができているくらいには評判の店だ。
男性客だけでなく、女性客も多い。

出てきたラーメンは、おいしいかと問われればおいしい、と答えるが、
食べながら、「これがフツーにうまいというものか」と思ってしまった。

まずくはない、といった意味でのうまいではなく、
確かにうまいラーメンである。
でも食べながら、どこか冷静に食べていることに気づいている。
夢中になって……、というところからは離れての食事だったともいえる。

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