使いこなしのこと(ステレオゆえの難しさ・その1)
スピーカーの設置は難しい。
あちらを立てればこちらが立たず、ということにぶつかる。
スピーカーの設置(セッティング)を難しくしているのは、
ステレオであるということだ。
いいかえればスピーカーが二本あるということに起因する。
モノーラル再生で、スピーカーが一本であれば、
部屋のあちこちにスピーカーを移動して音を聴いて、
最適の位置を見つけ出すことは、そう難しいことではない。
スピーカーが大きく重たければ、それなりの労力は必要としても、
やる気と体力があれば、最適の位置は見つけ出せる。
ところがステレオでは二本のスピーカーを、当然だが設置する。
一本のスピーカーでは最適の位置が見つけ出せても、
二本のスピーカーに対しての最適の位置を見つけ出せるかというと、
これが想像以上に難しい、というか、基本的には無理なのかもしれない。
専用のリスニングルームを建てられるのであれば、解決するであろう。
左右のスピーカーの設置条件を左右で完全に等しくできる可能性がある。
ただし十分に注意が必要なのは、目に見える範囲の条件だけでなく、
目に見えない部分、家の基礎構造を含めての条件の一致である。
そこまでのことができるのであれば、
ステレオでのスピーカーの設置の難しさはかなり解消されるであろうが、
現実はそうではない。
与えられた環境下での二本のスピーカーの設置は、
片側を最適の位置に置いたら、反対側のスピーカーは、
ステレオ再生には不都合な位置に置くことになるかもしれないし、
そうでなかったとしても、その場所はスピーカーの置き場所として最悪なこともある。
しかもスピーカー自体にバラツキがある。
面倒でもモノーラルにして、同じ位置に設置しなおして、
二本のスピーカーの音を聴いてみるとまったく同じ音がするということは、
まずあり得ないということが体験としてわかる。
そこにアンプやその他のオーディオ機器の左右チャンネルの音の差が加わる。
オーディオ機器は工業製品ではあるが、バラツキがまったくないわけではない。
大なり小なりある。
スピーカーのシリアルナンバーが連番だから大丈夫、という話ではない。