五極管シングルアンプ製作は初心者向きなのか(その12)
真空管アンプは、いま世に溢れている、といっていい。
そうとうに高額で大掛かりな真空管アンプもあれば、
よくこの値段でできるな、
感心するというかあきれるほどの低価格のアンプ(おもに中国製)もある。
自作アンプもある。
技術系雑誌に掲載されているアンプもあれば、
インターネットで検索してヒットするアンプもある。
それこそアンプの数だけのレベルの違いが、見てとれる、ともいえる。
真空管アンプは、半導体アンプよりもトランス類の数が多くなる。
電源トランスはどちらにも共通しているが、
真空管アンプでは出力トランスが、ここでテーマにしている五極管シングルアンプでは不可欠である。
チョークコイルも不可欠とまではいえないものの、あったほうがいい。
それにしてもオーディオ雑誌は、なぜチョークトランスと表記するのだろうか。
少なくともこれだけのトランス類は必要で、
例えば単段アンプならば入力トランスも必要となる。
入力トランスを使わなくとも、
ステレオアンプならば、出力トランスが二つ、電源トランスが一つ、チョークコイルが一つとなる。
鉄芯のコアをもつものが、シャーシー上に四つ乗っている。
これらのトランス類は干渉し合う。
漏れ磁束がある、それに振動も発している。
重量もある。
トランスの影響はトランスだけが受けているわけではなく、
他のパーツも受けている。
メーカー製のアンプでも、雑誌に載っているアンプの中にも、
これらトランス類の配置に無頓着としか思えないモノがある。
トランス自体がシールドされていると、すぐにはコアの向きはわからないが、
シールドなしのトランスであれば、どの向きに配置しているのか、すぐにわかる。
なぜ、こんな配置に? というモノが少なくない。
なにも真空管アンプだけの話ではない。
スピーカーのネットワークのコイルの配置にも同じことがいえる。
高音質パーツを使いました、と謳っていながらも、その配置には無頓着。
そういうモノが少なからずある。