ステレオサウンドについて(その101)
ステレオサウンド 58号の、927Dst vs Referenceの文章は、
次の書き出しではじまる。
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すでに56号386ページ「話題の新製品」欄で詳細をご報告したトーレンスのプレーヤー「リファレンス」。EMT930と、同一のTSD15型カートリッジをつけかえながらの比較試聴では、明らかに930を引離した素晴らしい音を聴かせてくれた。こうなると、価格的にも同格の927Dstとの一騎打ちだけが、残されることになった。「リファレンス」358万円、「927Dst」350万円。これが、いま日本で、一般の愛好家に入手できる最高のプレーヤーシステムということになる。
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別の書き出しも、実はある。
書き出しだけの短い原稿が残っている。
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すでに本誌56号(386ページ「話題の新製品」欄)で、スイス・トーレンス社の驚異的なプレイヤー「リファレンス」システムについて、詳細をお報せした。その折の試聴では、参考比較用に、エクスクルーシヴP3、マイクロ5000(2連)+オーディオクラフトAC3000MC、それにEMT♯930stの三機種を用意したことはすでに書いた。
そして、これら三機種のどれよりもいっそう、「リファレンス」の音のズバ抜けて凄いこともすでに書いた。
一式358万円という「リファレンス」に、その1/3ないし1/7と価格に違いはあるにしてもP3のよくこなれた形とDDモーター、マイクロの2連糸ドライブ、EMTのスタジオ仕様のアイドラードライヴ……と、三者三様ながらそれぞれのコンセプトの中でのベストを選んでいるのだから、ここまできてもなお、プレイヤーシステムを変えるだけで、全く同一のカートリッジとレコードの、音質や音のニュアンスないし味わいがびっくりするほど変化するという事実は、非常に考えさせられる。
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同じようなところもあるが、そうでないところもある。
この書き出しで始まったとなると、続く内容は58号掲載のもと違ってくるはずだ。
それにしても、なぜ、この書き出しの原稿は残っているのだろうか。
さらに瀬川先生はもう一本、書かれている。
こちらも途中までであるが、けっこう長い。
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すでに本誌56号(386ページ、話題の新製品)で、スイス・トーレンス社の特製プレイヤー「リファレンス」については、詳細をお知らせしたが、その折の試聴では、エクスクルーシヴP3、マイクロ5000(二連)、それにEMTの930stを比較用として用意した。だが、文中でもふれたように、「リファレンス」の桁外れの物凄い音を聴くにつけて、これはどうしても、EMTの927Dstを同一条件での比較試聴をしてみなくてはなるまい、との感を深めた。
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この書き出しも同じといっていいが、このあとに続くのは、
927Dstと930stの音の違いが、どこから生じるのかについて書かれている。
58号の文章には、
《 それぐらい、927Dstと930stは違う。そのことが殆ど知られていないし、その違いがどこから生じるのかについても、実は詳しく書きたいのだが、ここでのテーマは「リファレンス」と927Dstの比較であって、与えられた枚数が非常に少なく、残念乍ら927Dstそのものについては、これ以上説明するスペースがない。》
とある。
私の手元にある瀬川先生の原稿は、そこのところを書かれたものだ。
書きたかったけれども、原稿枚数が足りなくて書けなかったのか──、
と58号を読んだ時には思ったが、実際は書かれていたのだ。
書いた上で、枚数が足りなくなってしまい削除されている。