ダブルウーファーはロマンといえるのか(その10)
(その9)でふれた菅野先生実験のJBLの4ウェイは、
スイングジャーナル別冊「オーディオ・プラン’77」での組合せである。
このムックは手元にないけれど、
同じシステムを「モダン・ジャズ読本’78」でも鳴らされている。
「モダン・ジャズ読本’78」にはジャズ&オーディオ道場という企画がある。
ジャズ喫茶への道場破り的企画である。
ここで菅野先生は門前仲町に当時あったジャズ喫茶タカノに、同システムを持ち込まれている。
サンスイによるエンクロージュアは、おそらく4350のそれと同寸法と思われる。
バスレフダクトは両サイドに縦に三つならんでいるところも同じである。
このエンクロージュアに2220Bと2120をともに二発ずつおさめ、
蜂の巣ホーンにとりつけられた375は二発のウーファーよりもやや外側に配置。
このふたつのホーンのあいだに375が二発並ぶ。
見た印象でいえば、ミッドハイの375の距離が離れすぎのように感じる。
ユニットの数が多くなれば、それだけ配置の難しさは増していく。
これが最適の配置ではないだろう。
アンプはウーファー用がアキュフェーズのM60。
ミッドバス用がGASのAmpzilla、ミッドハイとトゥイーターはパイオニアのExclusive M4、
コントロールアンプはGASのThaedraだ。
「モダン・ジャズ読本’78」には編集部による原稿と、
タカノ店主高野亘氏の「わが抗戦の記」と菅野先生の「わが挑戦の記」が載っている。
こういう企画は、ステレオサウンドに望むのは無理なところがあった。
スイングジャーナルらしい企画であり、
こういう企画を行わなくなった(行えなくなった)から、
スイングジャーナルは消えていったのかもしれない。