世代とオーディオ(あるスピーカーの評価をめぐって・その10)
オンキョーのGS1の開発において、デザインはなされたのか、といえば、
なされていない、と言い切れる。
バラックの状態で開発が進んでいったGS1を製品化するには、
家庭におさまるモノだからバラックのままというわけにはいかない。
オンキョーの研究室内ではバラックでもかまわない。
そこは実験室だからである。
実験室で、バラックの状態でいい音が得られたとしても、それは製品にはほど遠い。
それはオンキョーもわかっていた。
製品にするためにデザインが施されている、と見えるのだが、
パッケージが施されただけ、といえる。
とってつけた外装パネルともいえよう。
だから外装(化粧)パネルの一枚である天板代りのガラス板を外すだけで、
音が良くなるし、このことからいえるのは、外装をすべてはぎ取った状態、
つまりバラック状態に戻した音こそが、GS1本来の音のはずだ。
本来ならばバラックだったGS1よりも、
いい音で鳴るためになされるのがオーディオにおけるデザインだと考える。
だが残念ながら、音を悪くしているのだから、
GS1になされたのはデザインではなく、デコレーションといえる。