世代とオーディオ(あるスピーカーの評価をめぐって・その11)
オンキョーのGS1のデザインをされた方が誰なのかは知らないし、
その人を批判したいわけでもない。
実験機としてのGS1を製品としてまとめあげる。
それもバラック状態のGS1の音と同じか、
できればよりよい音で製品としてまとめあげることのできる人は、そうそういない。
ほとんどいない、といってもいいだろう。
バラックの外側を囲ってしまう。
それだけで音は変化するものだし、ましてGS1はスピーカーである。
結局は体裁を整える、というレベルで留まっているGS1は、
果して製品といえるモノだろうか。
勘違いしないでいただきたいのは、
GS1の音そのものを否定しているのではない。
実験機としてのGS1はユニークなスピーカーだった。
けれど製品としてのGS1の評価は、違ってくる、ということだ。
そういうGS1を、オンキョーの営業の人たちは売っていかなければならない。
たいへんなことだった、と思う。
実験機と製品の違いがまずある。
そのうえで、製品と商品の違いがある。
私は、この違いをGS1の開発者の由井啓之氏はわかっておられたのか。
由井啓之氏がfacebookでGS1について書かれているのを見ると、
そう思う時がある。
そこにはオンキョーへの不満もあったからだ。
日本での評価への不満もあった。
だか日本での評価は高いものだった。
けれど売行きは決してよいものではなかった。
でもそれは致し方ない。製品といえるモノではなかったのだから。
由井啓之氏はGS1の開発者と名乗られている。
けれど、真の意味で開発者だったのだろうか。
実験者だったのかもしれない。
GS1は30年以上前に登場したスピーカーだ。
オーディオ雑誌で取り上げられることは、ほとんどない。
その一方でSNSでは由井啓之氏自身が語られている。
このこと自体は悪いこととは思わない。
けれどあまりにも由井啓之氏の一方的な見方が過ぎるように感じる。