私にとってアナログディスク再生とは(忘れられつつあること・その6)
レコードのかけかえごとのボリュウム操作は、
こまめにボリュウムを変えない人にとっては、非合理なこととうつるはずだ。
ボリュウム操作にこだわっていることを、
瀬川先生のマネをしていると捉えられるかもしれない。
けれど私くらいの世代(上の世代)にとって、
それはレコードをかける作法といえるのであって、身につけておくべきことと捉えていた。
オーディオは、レコードのかけかえは、
個人のリスニングルームという、いわは密室内でのことだから、
レコードのかけかえごとにボリュウム操作をするしないは、
それによって誰かに迷惑をかけるわけでもないし、誰かを不愉快にさせるわけでもない。
だから合理的だということで入力セレクターの切り替えで、
針の導入音を鳴らさないようにするのも、ボリュウムの上げ下げで鳴らさないようにするのも、
どちらをとっても自由である。
ただ私は、オーディオショウという場で、
ボリュウム操作性の悪いSU-R1を使いながらも、
入力セレクターの切替えではなく、
ボリュウム操作を選択していたテクニクスのスタッフに好感を持ったということである。
それから常にレコードのかけかえごとにボリュウム操作をするわけではない。
たとえばカートリッジ、トーンアームの調整をする際は、
ボリュウムのツマミはまったくいじらない。
トーンアームの高さ、針圧、インサイドフォースキャンセル量の調整では、
一枚のレコードに固定して、ターンテーブルは廻したままで、
針圧を少し変化させては針を降ろす。
入力セレクターも使わないから、導入音がする。
この導入音も調整時には判断要素として重要なことのひとつである。