Date: 8月 6th, 2016
Cate: ステレオサウンド
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ステレオサウンドについて(その50)

ステレオサウンドは、1990年代後半になって新雑誌をいくつか創刊している。
オーディオ関係では管球王国、
料理関係でワイン王国、料理王国である。

誌名に王国がついている。
王国がついているのを見て、
私はステレオサウンド 50号の原田勲氏の編集後記を思い出していた。
     *
 一人の熱心なオーディオ愛好家としての私が、読みたくて渇望したオーディオ誌。その夢を「ステレオサウンド」に托して、自ら本誌を創刊したのは十三年前だった。輝けるオーディオの国に王子を誕生させる心意気で私は創刊号に取組んだ。連日の徹夜で夢中になって造ったのを、つい昨日のように思い出す。
     *
王子のところには傍点がふってある。

ステレオサウンドの創刊から約三十年後に、王国とつく雑誌を複数創刊している。
原田勲氏自身、50号の編集後記に王子と書いたことは忘れてしまって、
管球王国とかワイン王国とつけたのかもしれない。
それともはっきりと憶えていたうえでの「王国」なのか。

王国ということは、王様ということか。
王子が王様になったということなのか。

1966年当時、王子はステレオサウンドというオーディオの本そのものだったはずだ。
それが時が流れ、王様になったということなのか。
それとも別の何かが王様なのか。

王様は城に住む。
どういう城を築きあげたのか。
その城の元、国はどういう繁栄を遂げたのだろうか。

争心あれば壮心なし、という言葉がある。
五十年前の王子には壮心があった、と私は思っている。

会社を大きくし、他の出版社と競争していくことで壮心を失ってしまった……のか。
だとしたら、壮心を失った王子は、どんな王様になったのだろうか。
その王様が治める国は……。

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