ダイレクトドライヴへの疑問(その20)
メーカーに余裕があった時代は、カットモデルが各社から発表されていた。
スピーカーシステムふアナログプレーヤーの内部をわかりやすく提示するために、
完成品を文字通りカットしたモノである。
中学生、高校生だったころ、カットモデルをつくるのに必要な完成品は一台だけだと思っていた。
完成品をなんらかの方法でうまくカットすれば、カットモデルはできあがるものだと思っていたのだ。
実際にはそう簡単につくれるモノではない、と知った。
複数台をカットして組み合わせて、一台のカットモデルができるそうだ。
お金も手間もかかることを、あのころのメーカーはやってくれていた。
ダイレクトドライヴ型のプレーヤーのカットモデルもけっこう多かった。
各社のカタログ、広告にはカットモデルのカラー写真が大きな扱いで使われていた。
カットモデルを一方向から見ただけで、構造のすべてが把握できるわけではないが、
カットモデルを、内部はこうなっていたのか、と感心しながら見ていた。
数年もすれば、見方は変化していく。
構造体としてカットモデルを見た場合に、気になることが目につくようになった。
どこのメーカーのカットモデルも見ても、
ダイレクトドライヴ型プレーヤーのほとんどに共通していえることがある。
これではいい音が出せるはずがない、といえる構造的な問題である。
デンオンのDP100Mは、その点に気づいてたのではないかと思う。
具体的なことはここでは書かないが、DP100Mの構造をすぐに思い浮べられる人ならば、
私が問題点と考えていることはすぐにわかるはずだ。
意外にもこの問題点は、いまのダイレクトドライヴ型プレーヤーには残ったままである。
テクニクスが昨年発表したプロトタイプのターンテーブルの内部を見ても、
この問題点にはまったく気づいていないとしか思えないつくりだった。
この問題が解消されていないつくりはそのままSL1200の最新モデルにも受け継がれている。