世代とオーディオ(ロゴはかわる・その1)
メーカー名、ブランド名のロゴは、時代とともにかわっていくことがある。
ほんのわずかな変更が加えられることもある。
注意深く見ていないと気づかない変化もあれば、
誰の目にもはっきりと「かわった」と気づかさせる変更もある。
タンノイ(TANNOY)のロゴがかわっていたのは気づいていた。
いつのころからなのかは曖昧だけれど、
かわったんだな、とすぐに気づく変更だった。
TANNOYの表記に使われているロゴ自体の変更は何度か行われている。
いまのロゴは何代目なのだろうか。
私が最初に見たTANNOYのロゴは、TANNOYの文字だけだった。
けれど、しばらくして昔のロゴを見る機会があった。
書体も違っていたけれど、TANNOYの文字をはさみこむように両端の記号が、昔はあった。
その古いTANNOYのロゴを、すぐに頭に思い浮べられる人はいまはどのくらいいるだろうか。
両手を上にひろげたような記号がついていた。
何も知らないころ、この両端の記号をみて、
スピーカーのことを表しているのだ、と勝手に解釈していた。
それはコーンのひろがりのようでもあり、ホーンのそれのようでもあったからだ。
しかも、そのラインは真ん中で太くなっていて、
いかにもタンノイの同軸型を表しているようでもあったからだ。
この記号、スピーカーではなく電波を表しているということを読んだこともある。
確かにタンノイという会社はスピーカーから始まったわけではない。
タンノイの会社名の由来を知っている人ならば、周知のことだ。
この記号も、最初からついていたわけではないが、
私にとってのTANNOYのロゴは、ロゴ自体の書体よりも記憶に残っている。
両端に記号がついた、このロゴが、TANNOYらしいとさえ感じる。
両端の記号はなくなって久しい。
会社の形態も変化しているのだから、それも理解できるのだが、
ロゴから、その会社の歴史や特色をイメージさせる要素が消えていったり、
薄れていったりするのを、何も感じない人がいるのは、
世代の違いかも関係しているのだろうか。
ただ、この場合の「世代」は単なる年代の違いというよりも、
もう少し違う意味の世代でもある。