Date: 7月 14th, 2016
Cate: 世代
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世代とオーディオ(JBL SE408S・その2)

SE401は回路図を見ればすぐにわかるように、
真空管をトランジスターに置き換えたようなところを残している。

現代のパワーアンプのほぼすべては、NPNトランジスターとPNPトランジスターのプッシュプルだが、
SE401の出力段は、RCAのPNPトランジスターだけのSEPPであり、
そのため出力段の前段には位相反転回路が必要になり、SE401はここにトランスを使用している。

Tサーキットと呼ばれる上下対称のプッシュプルの出力段になるのは、
SE408Sからであり、このアンプから電圧増幅回路に差動回路を採用している。
SE400Sの型番末尾のSは、シリコントランジスターになったことを表している。

アンプの回路構成からいえば、SE401とSE408Sはまるで違う。
それでもアンプ全体のコンストラクションは基本的には同じといえる。

SE401もSE408SもエナジャイザーとしてJBLから登場している。
JBLのスピーカーシステムに内蔵するパワーアンプとしての呼称である。
ゆえにSE401もSE408Sも外装パーツを持たない。

アルミダイキャストのフロントパネル(というよりフロントフレームか)に、
パワートランジスターが取り付けられていて、ヒートシンクを兼ねている。

このフロントフレームが電源トランス、増幅回路、平滑用コンデンサーなどすべてを支えているし、
このフレームによりスピーカーのリアバッフルに組み込むための支えでもある。

フロントフレームがヒートシンクを兼ねているわけだから、
いわゆるヒートシンクにつきもののフィンはない。

SE401、SE408Sの構造を昨晩久しぶりにじっくりと見る機会があった。
前回見たのがいつだったか、もう憶えていないほど昔である。

そのころよりもオーディオについてはいろんなことを学んできた。
あの時、SE408Sを見ても気づかなかったことがいくつかあったことに気づかされた。

そして、こういうフロントフレームと呼びたくなる構造は、
アンプメーカーの発想ではない、とも思った。

スピーカーメーカーで、スピーカーユニットのメーカーでもあるからこそ、
こういう構造の発想ができたのだろうし、製品化することもできたといえる。

1970年代、アメリカには、
いくつものガレージメーカーとよばれる小規模のアンプメーカーが誕生した。
回路的には斬新な内容を誇っていたアンプでも、
JBLのSE401、SE408Sに匹敵するような構造のアンプはなかった。

規模の小さなメーカーでは、
ダイキャストのフロントフレームを採用することは負担が大きすぎるからだ。

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