世代とオーディオ(JBL SE408S・その1)
1993年ごろ、マークレビンソンからはNo.29、
チェロからはEncore Powerが登場した。
このふたつのパワーアンプに共通する項目は、
出力談のアイドリング電流を抑え、発熱量を減らすことで、
パワーアンプに欠かせないヒートシンクを、できるだけ簡略化していることである。
パワートランジスターとヒートシンクは、振動源と音叉の関係に近い。
トランジスターを流れる電流で振動を発生する。
この振動がヒートシンクのフィンに伝わっていく。
だからパワーアンプ(ヒートシンクのつくり)によっては、
パワーアンプの出力に抵抗負荷を接ぐ、入力信号をいれ、ヒートシンクに耳を近づければ、
音楽が聞こえてくることもある。
その聞こえ方も、アンプの構造によって違ってくる。
それゆえにヒートシンクの扱いは、パワーアンプの音質を大きく左右するともいえる。
同時に発熱量が多ければ大型のヒートシンクになる。
ということは振動面で不利になるだけでなく、
パワートランジスターまでの配線の距離も長くなるという問題が発生する。
ドライバー段のトランジスターもパワートランジスターと同じヒートシンクに取り付ければ、
ドライバー段までの配線が長くなる。
この影響も無視できるものではない。
この他にもまだまだあるわけだが、ヒートシンクに関係する問題点を解消するには、
ヒートシンクそのものを使わずに澄むような回路設計にするというのも、ひとつの手である。
そうすることで優れたパワーアンプがすぐに出来上るというものではないが、
音質追求のためのA級動作のパワーアンプとは対極にあるアプローチでもある。
No.29、Encore Powerは、そういう考えから生れてきたモノだろうが、
アメリカには30年ほど昔に、同じアプローチといえるパワーアンプが登場していた。
JBLのSE401である。