Date: 7月 12th, 2016
Cate: オーディオマニア
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オーディオは男の趣味であるからこそ(アルテック604)

中高域にホーン型を採用した同軸型ユニットがある。
アルテックの604、タンノイのデュアルコンセントリックがよく知られている。
ジェンセンのG610も古くからあった同軸型ユニットだし、他にもいくつかあった。
現行製品として中高域をホーンとした同軸型ユニットはある。

タンノイ、ジェンセンはウーファーのコーン紙をホーンの延長とみなしての設計であるため、
アルテックの604シリーズのように中高域のホーンがウーファーのコーンの前に存在しない。

いまもある同種の同軸型ユニットは、ホーンがアルテックの604のように前についている。
だからといってホーンがついている同軸型ユニットが604と同じとはいえないところがある。

ユニットを保管するとき、前面を下にして伏せておくことが多い。
通常のコーン型ウーファーやフルレンジユニットだと当り前のようにできる置き方だが、
アルテックの604も、同じように伏せておける。

つまり604のホーンはフレームよりも前に出ていないからだ。
けれど最近の同種の同軸型ユニットの中には、こういう置き方はできないモノが登場している。
ホーンがフレームよりも前に張り出しているからである。

同軸型ユニットとして、それも中高域がホーン型の場合、
ホーンを理論通りにしたいのは理解できる。
けれどそうしてしまえば、たいていの場合、ホーンが突き出てしまうことになる。

音のためにそうなってしまいました。
そうメーカーが広告やカタログに謳っていれば、その姿勢は評価されることが多い。
「音のために……」は、まさに男の趣味的でもある。

でもいまの私は「男の趣味」だからこそ、アルテックの604の姿勢を、より高く評価したい。
アルテックの技術者も、
つまりこのユニットのオリジナルの開発に関係していたランシングも、
もしかするともっとホーンを大きくしたいと考えたかもしれない。

ほんとうのところはわからないが、登場したユニットではホーンは突き出すことなく、
節操をもっていること、私は「男の趣味」として高く評価している。

604の、このサイズのホーンゆえに生じている同軸型ユニットとしての弱いところは、
当のアルテックの技術者はわかっていた、と思う。
それでもホーンを、あえてこのサイズとこの位置にまとめている。

そこを充分に理解して使うのが、男のはずだ。

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