日本のオーディオ、これから(テクニクス SL1200のこと)
6月24日にテクニクスのアナログプレーヤーSL1200GAEが発売になった。
全世界で1200台の限定生産の、
このアナログプレーヤーがすぐに予約完売になったことはニュースにもなったほど。
9月には通常版のSL1200Gが発売になる。
昨年、テクニクスがダイレクトドライブのアナログプレーヤーを開発中であり、
昨年の音展には、ターンテーブルが参考出品されていた。
私はひそかにSP10をこえるモデルの登場を期待していた。
けれど実際に製品化されたのは、SL1200の後継機だった。
オーディオの市場は、いまや大きくない。
そこで確実な売行きが見込めるモノとなると、
SL1200の後継機であることは理解できる。
でも、SL1200に思い入れのない私は、
SP10クラスのモノでないのであれば、SL01、SL10の後継機か、
まったくの新製品を期待したいところだった。
テクニクスのアナログプレーヤーは、以前からそうなのだが、
レコード盤をかけるとキカイとしての有機的な魅力が欠けている。
それがいいと感じる人もいるようだが、私はなんとそっけない、
もっといえばレコード盤をかける心情を無視したようなアピアランスをいいとは思っていない。
そんな私でもテクニクスのアナログプレーヤーには、関心できることが以前からあった。
奥行きをできるかぎり短くしている点である。
SL1200の最初のモデルの外形寸法はW45.3×H18×D36.6cmである。
当時のテクニクスのラインナップで、
比較的コンパクトなモデルであったSL01がW42.9×H9.9×D36.9cmだった。
意外にも、というか、SL1200が奥行きに関しては小さかった。
テクニクスのアナログプレーヤーは、他社製のアナログプレーヤーよりも奥行きが短い傾向がある。
アナログプレーヤーにはたいていダストカバーがつく。
ダストカバーを開いた状態だと、アナログプレーヤーの設置に必要な奥行きは、
約50cmと見ていた方がいい。
思っている以上に、奥行きを要求する。
だからアナログプレーヤーの奥行きは短い方がいい、といえる。
昔のHI-FI STEREO GUIDEを持っている人は、
アナログプレーヤーの奥行きを各社各製品ごとに比較してみてほしい。
奥行きのことを考慮しているメーカーとそうでないメーカーがあるのがわかる。
テクニクスは前者だった。
だからSL10という、ジャケットサイズのプレーヤーも開発したのだろう。
いまではテレビが液晶になり、ぐんと薄くなった。
そういう時代に奥行きに50cmほど必要とするアナログプレーヤーは、
買って設置してみたら、想像以上に大きかった……、という例はあるはずだ。
SL1200の新モデルは、その点はきちんと踏襲しているようだ。
だから高く評価している、のではなく、なぜここから先がないのかといいたくなる。
ダストカバーを開けてもカタログに記載されている奥行きの寸法以上は必要としない、
そういう構造になぜしなかったのかといいたくなる。
ダストカバーを開けても閉じていても、奥行きは変らないアナログプレーヤーは、
当時すでに存在していたからだ。