オーディオの「介在」こそ(ヘッドフォンで聴くこと・その2)
外で、電車内とかで、音楽を聴く習慣は全くない。
iPodは割とはやい時期に購入した。
ソニーのウォークマンも初代は持っていなかったけど、2代目のモデルは持っていた。
でも、歩きながら、とか、電車の中で一、二度使ってみたことはあっても、結局それっきり。
あとは、家で気が向いたときに使う、という程度である。
だから、正直、歩くときも電車の中でもずっとヘッドフォン(イヤフォン)をして、
長時間音楽を耳にしている人に対しては、音楽を聴いているのか、という疑問は湧いてくる。
「聴いている」という答えが返ってくるだろう。
そこで、音楽を聴く、ということについて議論する気はない。
でも、ノイズキャンセリング付のヘッドフォンをかけている人が、電車の中でも増えてきているを目にして、
「聴いている」にしても、ずいぶん違う聴き方であるだけでなく、
もしかすると、まるっきり対極にある聴き方をしているのではないか、と考えるようになってきた。
電車の中では、雑多な音がしている。走行音やまわりの人の発する声や雑音、
それらを耳にするのが嫌で、音楽で遮断したい、という人がいるという話を、誰かから聞いたことがある。
好きな音楽を耳もとで、ある程度の音量で鳴らせば、たしかにまわりの、そういった雑音は聞こえにくくなる。
そこにノイズキャンセリング機能が加わると、さらにまわりの雑音はより徹底的に遮断される。
そのうえで、音楽で、音のカーテンをつくる──そんな印象を、私は受ける。
そういう音楽の聴き方を日常的になってしまった場合、スピーカーを通して聴くのとでは違ってくるし、
ヘッドフォンでの音楽の聴き方についても、そういうことが当り前になった人と、
スピーカーと併用してヘッドフォンでも音楽を聴く、という人とでは、まるっきり違うはず。