黄金の組合せ(その24)
ステレオサウンド 52号に、QUADの新型コントロールアンプ44が登場する。
405の登場とともに、33に代るコントロールアンプの噂はあったけれど、三年遅れての登場である。
型番の44は、多くの人が予想した通りだった。
大きさは33よりも大きくなっていて、
そのかわり405とのバランスがとれるようになっている。
アンプの内部構成も44と33はずいぶん違う。
モジュール構成を採る44は、使い手の要求に応じて入力モジュールを自由にかえられる。
ある種の融通性が加わっているし、
密閉されたモジュールではないから、モジュールごとの修理となるわけで、
メンテナンスのしやすさも考慮されての構成といえよう。
QUADアンプの愛好家、405の愛好家にとって、待ちに待ったコントロールアンプの登場だった。
44と405の組合せの音は、けっこうな回数聴いている。
いい組合せだと思う。
若いころもそう思っていたし、いまもそう思う。
でも、当時は44と405の組合せをそれほど欲しい、とは思っていなかった。
405は欲しいパワーアンプのひとつだった。
でも組み合わせるコントロールアンプは、44が出る前も出た後も、
私にとってはAGIの511(初期モデルか並行輸入のブラックパネル)が魅力的に思えたからだった。
44と405は純正組合せなわけで、それがいい音がするのは当り前、
コンポーネントの楽しさは、あえて純正とは違う組合せにある──、
若いころはそういう気持が強かったからだ。
AGIの511も、405も44も、小改良を受けている。
511と405はモデルチェンジもしている。
時間が経てば、人も変るわけで、いまでは44と405の組合せを欲しい、と思うようになった。
それでも44と405の組合せが、黄金の組合せかと問われれば、
そうではない、と即答する。