ステレオサウンドについて(その18)
ステレオサウンド 45号の表紙はKEFのModel 105だった。
Model 105は44号の新製品紹介のページに登場していた。
山中先生と井上先生が評価されている。
Model 105のスタイルは、当時テクニクスがさかんに謳っていたリニアフェイズと同様だった。
マルチウェイの各ユニットの駆動中心を揃えている。
KEFがリファレンスシリーズと呼びはじめたModel 103、Model 104とは、
スタイルにおいてもサイズにおいても大きく違っている。
Model 105もリファレンスシリーズのモデルである。
44号の新製品紹介において、井上先生が語られている。
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井上 その一つの例をあげると、このシステムの振動板にはベクストレンという合成樹脂系のものが使われていますが、今までの合成樹脂系の振動板の音には一種の固有音めいたものがあったのですね。たとえばヴァイオリンではガット弦であるべきところがナイロン弦になったように聴こえてしまうところといった感じがつきまとっていたのですが、このシステムの場合それが感じられないといっていいと思います。これは大変な技術的進歩だといえますね。
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さらに井上先生は、こうもいわれている。
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井上 スピーカーを開発する場合、一方には「スピーカーは楽器なり」の考え方──開発・設計する側の一つの主張として感覚的なものを加えて独得な音色をつくり出す──もあるのですが、その痕跡はまったくといっていいほどこのシステムにはないですね。
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Model 105は、予価195000円(一本)とあった。
中学生には、これでも買えない金額だが、JBLの4343からすれば、1/3以下の価格だ。
山中先生がいわれているように《非常に理知的なスピーカー》という印象が、
外観からも、ステレオサウンドの記事からも充分伝わってきていた。
KEFのModel 105は、44号を読んで、私がいちばん注目していたスピーカーだった。
それが45号の表紙になっていた。