2015年をふりかえって(その6)
ステレオサウンド 197号の附録(卓上カレンダー)がもうすこしまともなのものだったら、
購入していただろうし、特集の内容は、このテーマで書くのにぴったりの号だけれど、
購入していないから、記憶に頼ってあれこれ思い出そうとしているけれど、
何があっただろうか……、とキーボードをたたく指が止ってしまう。
そういえば、と思い出すのはオーディオ機器ではなく、本だったりする。
二ヵ月前に「レコードと暮らし」という本のことを書いた。
この本の著者、田口史人氏の本がもう一冊出ている。
「日本のポータブル・レコード・プレイヤーCATALOG」である。
リンク先のサイトを見ていただくか、書店にこの本を手に取ってほしい。
私の家にもポータブルレコードプレーヤーはあった。
そのポータブルレコードプレーヤーで、レコードを初めて聴いた。
オーディオに関心を持ちはじめると、こんなモノ、とつい思ってしまっていたが、
あの時代のポータブルレコードプレーヤーは、クリスタル型の高出力カートリッジがついていた。
一般的なMM型、MC型とは違い、振幅比例型のこの発電方式のカートリッジは、
RIAAイコライザーを必要としない。
出力が大きいことと相俟って、ポータブルレコードプレーヤーの内蔵のアンプは小さい。
凝ったものではない。
しょぼい作りといえる。
けれど、このミニマムな構成から出てくる音は、そうひどいものではない。
ポータブルレコードプレーヤーの音でも、鳴ってきた音楽に感動していたのだから。
そういう体験を持っているから、「日本のポータブル・レコード・プレイヤーCATALOG」はおもしろい。