Date: 12月 26th, 2015
Cate: 広告
Tags:

広告の変遷(マイクロの広告)

岩崎先生の著作集「オーディオ彷徨」に、
《「時」そば、その現代的考察》がある。
短い文章である。

巻末の初出誌一覧をみると、スイングジャーナルとある。
これだけを読んだのでは、《「時」そば、その現代的考察》が広告のための文章だとは気がつかなかった。
かなりながいこと広告だったとは知らなかった。

数年前に、ある方がスイングジャーナルのバックナンバー(1970年代)を送ってくださった。
1970年代おわりごろのスイングジャーナルは手にしたことがあったけれど、
それ以前のバックナンバーはほとんど見たことはなかった。

目についた号から手に取りパラパラとめくっていたら、ある広告が目に留った。
そこには、大きく「岩崎千明」とあった。
マイクロの広告だった。

二ページ見開きで、他社の広告とも、それ以前、それ以降のマイクロの広告とも違う。
ステレオサウンドでも見たことのない、おそらくスイングジャーナルにだけ載ったマイクロの広告だと思われる。

一年続いた広告である。
スイングジャーナル1972年12月号から1973年11月まで載っている。
12回目の広告の最後には、参照:三田村鳶魚「江戸物」、と書いてある。

いつのころからか、オーディオ機器の広告は写真がメインになってしまった。
悪いことではない。
でも、そればかりになってしまうと、
このころの読む楽しみがあった広告が、また現れてもいいのではないか、と勝手なことを思ってしまう。

一年間だけとはいえ、マイクロはよくこういう広告をつくって掲載したな、と感心する。
製品の写真は載っていない。

岩崎先生による文章にも、製品紹介のことはほとんど出てこない。
それでも、このマイクロの広告を同時代に見ていた人の印象には強く残っていたのではないだろうか。

こういうマイクロの手法が、理想の広告とはいわない。
それでも、このころのようにオーディオの広告も、もっと挑戦してもらいたい、とつい思う。

埋没してしまっては、広告として機能しているといえるだろうか。

Leave a Reply

 Name

 Mail

 Home

[Name and Mail is required. Mail won't be published.]