続・再生音とは……(その16)
昨晩はKK塾の三回目だった。
講師の石黒浩氏は、人間国宝の落語家、桂米朝師匠の米朝アンドロイドをつくられている。
これから先、さらに技術が進歩すれば、ピアニストやヴァイオリニストのアンドロイドも可能になる。
現役のピアニスト、ヴァイオリニストのコピーをつくりあげる。
外観だけでなく、その演奏テクニックも完全にコピーできるようになる。
そうなったときに、このアンドロイドがピアノを弾く、ヴァイオリンを弾く。
これも録音・再生といえる。
ならば、アンドロイドによる演奏の再現は、オーディオなのだろうか。
スタインウェイのピアノで演奏されたものを、
そのピアニストのアンドロイドで再生する。
再生する際のピアノはスタインウェイを使う。
けれど元の演奏で使われたピアノそのものを使うことができるのは、ごく限られた場合となる。
このアンドロイドのピアニストを個人で購入し、どのピアノで鳴らすのか。
スタインウェイでも、まったく同じスタインウェイのピアノは用意できない。
同じ型番のピアノであっても、一台一台微妙に違う。
その違いをどう考えるのか。
さらに別メーカーのピアノを持ってくることも考えられる。
ヤマハやベーゼンドルファーのピアノを、そのアンドロイドに弾かせる行為は、どういうことなのか。
──こんなことをあれこれ考えている。