続・再生音とは……(その17)
こんな状況を考えてみる。
自分のリスニングルームにピアノを用意する。
そのピアノで、あるピアニストに演奏してもらう。
同じピアノを使って、アンドロイドのピアニストにさきほどの演奏を再現させる。
これは原音再生となるのだろうか。
ピアニストの演奏をアンドロイドのピアニストに再現させるためには、
おそらくそうとうな数のセンサーが必要となるだろう。
ピアニストにもセンサーがいくつも取りつけられ、ピアノにもいくつものセンサーが取りつけられる。
精度を高めるためにはセンサーの種類と数、小ささ、軽さが要求される。
ここで演奏を捉えるのはマイクロフォンではなく、各種センサーとなる。
これまでは音によって演奏を記録してきたが、
こういうアンドロイドが可能になれば、音ではなくピアニストの動きそのものの記録であり、
ピアニストの動きによって演奏を記録することになる。
これもオーディオなのだろうか。
KK塾での講演で石黒浩氏は、
「コピーされた直後から、それはオリジナルとは別のものに成長していく」と話された。
とすれば演奏をこうやって記録(コピー)したアンドロイドは、
元のピアニストとは別物に成長していくのだろうか。
このことと同時に考えるのは、演奏者から演奏家へ、である。
成長することで、アンドロイドのピアニストは演奏者から演奏家になっていくのだろうか。