陰翳なき音色(その2)
カルロ・マリア・ジュリーニの「展覧会の絵」は、
シカゴ交響楽団といれたドイツ・グラモフォン盤と、
ベルリン・フィルハーモニーとのソニー・クラシカル盤とがある。
ソニー・クラシカル盤は1990年の新譜である。
岡先生がステレオサウンドに連載されていたクラシック・ベストレコードに書かれていたことを思い出す。
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映画館の看板みたいな「展覧会の絵」ばかりきかされる昨今、ジュリーニがBPOから「古城」のようなノスタルジックな抒情をひきだしたのはさすがとおもった。
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ブラームスの第二交響曲は、
ロスアンジェルス・フィルハーモニーとの演奏もウィーン・フィルハーモニーとの演奏も聴いている。
「展覧会の絵」はベルリン・フィルハーモニーとの演奏しか聴いていない。
シカゴ交響楽団との演奏はどうだったのだろうか。
ブラームスの第二交響曲における違いと同じ違いを感じるのだろうか。
ロスアンジェルス・フィルハーモニーとシカゴ交響楽団、どちらもアメリカのオーケストラとはいえ、
同じには括れない違いがあるから、ブラームスの第二交響曲のような違い、
というかロスアンジェルス・フィルハーモニーとの演奏に感じた「ウィーン・フィルハーモニーだったら……」、
そんなおもいはないか少ないことだろう。
それでも「古城」のようなノスタルジックな抒情は、
シカゴ交響楽団との「展覧会の絵」には感じられただろうか。
聴いてもいない演奏についてこれ以上語ることはやめておくが、
「ウィーン・フィルハーモニーだったら……」とか「ベルリン・フィルハーモニーだったから」というのは、
ウィーン・フィルハーモニーもベルリン・フィルハーモニーも、
アメリカのオーケストラではなくヨーロッパのオーケストラであることに関係している。