喫茶茶会記のスピーカーのこと(その6)
喫茶茶会記のアルテックのホーン811Bは、セクトラルホーンである。
いわゆる古い世代のホーンである。
ダイキャスト製のふたつの型を上下に配置して真ん中を溶接してつなぎわあせている。
最新のホーン理論によってつくられたホーンをみなれた目からすると、
古くさいだけでなく荒っぽいイメージの残るホーンでもある。
しかもホーンの厚みは厚いとはいえない。薄い方だ。
叩けばホーン鳴きが、カンカンとする。
ある音量をこえると、いかにもなホーン鳴きが誰の耳にもはっきりと聴きとれる。
だから、このホーン鳴きをどうにかしたいと、多くの人が考える。
ホーンにデッドニング材を貼りつけたり、重しを載せたり、などが、
古いオーディオ雑誌の読者訪問記事の写真で見ることができた。
そういった対策を行う前にやってほしいのは、
811B(511Bもそうだが)を、バッフルに取りつけてみることだ。
811Bを正面からみると、開口部の縁はバッフルに取りつけられるように穴がある。
バッフルに取りつけると見た目が……、という人は、
バッフル板のかわりにホーンの縁に隠れるようなサイズの角材を、この縁の部分に取りつけてみてほしい。
ホーンの縁が木によって適度にダンプされることで、カンカンと鳴っていた音はけっこう抑えられる。
もちろんどんな木にするかでも音は変るけれど、まず試してみることが大事だ。
その効果を耳で確認できたら、それからいろんな木材を試してみればいいし、
ホーンの縁と角材との間に、たとえば和紙などをはさんでみる、という手もある。
このことは、ずっと昔はいわば常識ともいえた。
けれど、いまでは忘れ去られているような気もする。