日本のオーディオ、これまで(オーディオと黒・その2)
アンプのブラックパネルは、サンスイのAU111から始まったようだ、と以前書いた。
スピーカーシステムに関してはどうだろうか。
スピーカーはブックシェルフ型であっても、オーディオ機器の中では大きいサイズになる。
しかもステレオだから二台必要となる。
そのためであろう、スピーカーシステムは家具調の仕上がりのモノがあったし、
そうでなくとも木目を採用したモノばかりの時代があった。
そこにヤマハのNS1000Mが登場する。
1974年のことだ。
NS1000M以前にコンシューマー用スピーカーシステムで木目を排したい黒仕上げのモノはあったのか。
あったかもしれないが、アンプにおける黒ということでサンスイのAU111が真っ先に思い浮ぶように、
スピーカーにおける黒となると、やはりNS1000Mが浮ぶ。
NS1000Mの登場を同時代的に体験しているわけではない。
私がオーディオに興味をもったとき、NS1000Mはすでに存在していたし、
スウェーデンの国営放送へのモニターとしての正式採用が話題になっていた。
それに木目仕上げのNS1000もあったこともあり、すんなりNS1000Mを受け止めていたが、
1974年の時点である程度のオーディオのキャリアを持っていた人にとっては、
NS1000Mの登場は衝撃的であったかもしれないと想像できる。
全面黒仕上げで、サランネットも排している。
スコーカー、トゥイーターの振動板にベリリウムを採用したことよりも、
アピールとしては黒仕上げの方が、印象としては効果的であったのではないか。
私が興味をもったときには、黒はごく普通にアンプにもスピーカーにも、アナログプレーヤーにも使われていた。
けれどオーディオと黒の関係は古いようでいて、思ったほど古いことでもないという気もしている。
オーディオと黒。
少し掘り下げてみたいテーマである。