喫茶茶会記のスピーカーのこと(その5)
グレン・グールドの録音風景の映像を以前みた。
モノクロの古い時代の風景である。
スタジオはコロムビアのニューヨークにあるスタジオ。
その映像をみていて、意外に感じたのは、
そこに置かれていたスピーカーがアルテックのA7(と思われる)だったからだ。
もちろんモニタースピーカーとしてA7が置かれていたわけではない。
録音ブース(演奏者が演奏している側)に置かれているプレイバック用のスピーカーとして、
A7と思われるスピーカーが置かれてあった。
これは何もグールドの録音風景の映像だけでなく、
同時代のコロムビアのジャズの録音の映像でも確かめることができる。
グレン・グールドが望んで、そこにA7が置かれていたわけではないのはわかっている。
それでもグールドは、録音ブースにおいて、いましがた演奏し録音された自分の演奏を、
このスピーカーで聴いていたわけである。
となると、アルテックのA7、もしくはA5でグールドの演奏を聴いてみたくなる。
デジタル録音になってからのものよりも、
このモノクロで録られた時代の録音のものを聴いてみたい、とはそのころから思っていた。
喫茶茶会記のスピーカーのユニットは、A7のユニット構成に近い。
グールドのブラームスの間奏曲集は1960年の録音である。
まだまだ真空管の録音器材が使われている時代でもある。
だからこそ最後にグールドのブラームスをかけてみた。