ダブルウーファーはロマンといえるのか(その5)
(その1)で、私にとっての「ダブルウーファー」とは15インチ口径のウーファーが二発のこと、と書いた。
38cmよりも小口径のウーファー、
それが30cm口径のダブルであっても、38cmのダブルに感じるものからすると、
なにかひとまわりもふたまわりもスケールダウンしたように感じてしまう。
ましてもっと小口径のダブルウーファーとなると……、書くまでもないだろう。
そういうダブルウーファーのスピーカーシステムを否定はしないし、
そういう仕様のシステムでもいいスピーカーはある。
けれど、そこには38cm口径のダブルウーファーに感じる凄みがない。
だから、まったく別種のダブルウーファーのスピーカーシステムのように感じる。
これはなぜなのだろうか。
よく井上先生はいわれていた。
低音とは、耳で聴く低音と肌で感じる低音感、
このふたつのバランスが巧みにとれていることが、低音再生(低音感)にとって大事である、と。
私には、このふたつのバランスが破綻をきたすぎりぎりのところでバランスがとれるのが、
38cm口径のダブルウーファーのような気がしている。
これは私だけが感じていることはないと思う。
少なからぬ人が感じていることではないのだろうか。
そういえば昔スイングジャーナルでは、38cm口径のダブルウーファーのことを、
38Wと表記していた。
古くからのオーディオマニアだと、
エレクトロボイスの30Wという30インチ(76cm)口径のウーファーがあったから、
38Wとあると38インチ口径のウーファーと思わないわけではないが、
それでもあえて38Wという表記を使うスイングジャーナル編集部の気持はわからないわけではない。
38Wには、2トラ38(ツートラサンパチ)に通じるところがある。